君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「まぁ、私はまだまだ結婚なんて考えてねぇし最悪しなくてもいい派だけど、菜々子は違うだろ?...相手がいんだからタイミングじゃね?」


「...うん」


周りは結婚して子供がいる。それが当たり前。
だからなんか私だけ取り残されちゃってる気分。みんなとは違う私がちょっと悪いことをしている気分になる。


「歳取ると、悩みが増えて嫌になるわ」


「そうかぁ?」


仕事も恋愛も歳を重ねるごとに、考えることは増えてくる。
自由奔放に生きられていた二十代とは、全然違う。


「あー、もう私帰らなくちゃ」

ふと時間を見ると二十二時過ぎ。


「はぁ?夜はこれからだろ!」


「無理無理!明日は副社長と日帰りで大阪だから。帰って早く寝ないと。それに桜子ももう若くないんだからね。あまり遅くまで起きていると肌荒れしちゃうわよ?」


「肌荒れ上等だよ!肌荒れが怖くて酒が飲めるか!」


そんな桜子に溜め息が漏れてしまった。


「本当にほどほどにね!身体壊しても知らないからね!?」


「そん時はそん時に考えるから大丈夫だよ」


桜子にはもうこれ以上何言っても伝わらないんだろうな。

そんなことを考えながらお財布からお金を取り出し、桜子に渡す。


「じゃあ悪いけど先に帰るけど...。桜子も明日仕事なんだから、早めに帰りなさいよ」


「わーってるって。菜々子は私の母親かよ」


「桜子を見ていると、母親になりたくなっちゃうんです!」


嫌み込めて言って、ぶつぶつといまだに文句を言っている桜子を残し、居酒屋を出る。



「あっつ」


梅雨が明けて夏間近な今の時期、夜と言っても気温は高い。
火照った身体はなかなか冷えてくれそうもない。


「さて。我が家に帰るとしますか」


独り言を呟きながら家へと向かって歩き出す。
私が今住んでいる場所は、会社から近い圭吾さんのマンション。

橘さんからの転職の話も急だったから、なかなか引っ越し先が決まらなかった。そんな時、圭吾さんが言ってくれた。

『引っ越し先決まってないなら俺のマンションに住んでくれないか?ずっと使わずだから、菜々子が住んでくれると助かる』って。

圭吾さんのマンションだから家賃要らないし、光熱費のみだから凄く助かってる。
...助かっているんだけど、誰もいない圭吾さんのマンションは広くて静かで、そして寂しい。
一人で生活するには広すぎて、疲れきって1日が終わりあの家に帰ると、寂しくて堪らない。

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