しあわせだ。あえてよかった。だいすきだ。


メイの愛情は、わかりやすい。それでいて初めから今までずっと揺らがない。だから「愛される自分の存在」を浮き彫りにしてくれる他者として、浩平にとってメイの存在は心地よかった。

 メイはメイで、誰かに必要とされて、誰かを呼べば返事があること。それが、幸福に直結していた。愛されなかったわけではなかった。人並みに恋愛もした。両親と兄からの愛情をいっぱいに受けた、少しだけさみしがり屋の20歳、それがメイだった。


「浩平さん、安心する」

メイはいつものようにそう言った。

「メイ、ありがとーな」

浩平もいつものようにそう言った。


 メイと浩平はお互いに確認し、自分自身の為に安らぎあっていた。


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