しあわせだ。あえてよかった。だいすきだ。
「惚れた弱みってやつ?とハルは思います」
「惚れてなんか、ない、とは……言えないのでしょう」
二人して外国映画に出てくる学者のように、大げさな手振りで意見を交わし、シャボン玉が割れるような小さな笑いを共有する。
そうやって、二人による、二人の為の、あられもない言葉の調理が始まるのが常だった。
食材はそれこそ周囲の男性陣であったり、バイト先のドロドロ劇場であったり。
音楽、ショッピング、授業、就活、何だって良かった。
そして、今夜こっそりと切り刻まれるは、
メイの大事な「タロちゃん」。