こんな能力(ちから)なんていらなかった




「誰?」


 振り向いてそう問うも、


「やっぱ優羽だ〜〜!!」


その子は全く聞かずに飛びついてきた。


「優羽!今までどこにいたの!?」


 その姿がやけに葵とかぶる。

 が、決定的に違うのは外見。


 例えば葵が純日本人な外見(といってもかなり鼻高いし目パッチリ)とすればその子は純外国人。

 綺麗なブロンドの長い髪に青い瞳。


「えと、あなたはどなたですか?」

「忘れちゃったのー!?御岳仁緒だよ!中学の時はめちゃくちゃ仲良かったのにぃ!!」

「そうなの……?ごめんね?」


 そんな風に謝られたら頷くしかないじゃんかぁ。そう言って仁緒は優羽の隣に腰を下ろす。


「ああ!本当久々!元気だった!?」

「それなりには」

「ほんとー!?」


 高いテンションに若干ついていけない。


最近こんな展開がなんか多いなぁ……。


 どうしたものかと思案していると葵が戻ってくるのが見えた。

 しかし、その足はピタリと止まる。


「御岳仁緒……?」

「……なんで葵がってそういうことか、最低な奴!!」


 仁緒はいきなり立ち上がると葵の頬を平手で打った。


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