こんな能力(ちから)なんていらなかった



 そこで重要なことを思い出す。


 この二人の関係は何なのか、ということを。


「ねぇ、葵……」

「何?」


 葵はぶすっとしたままだ。


「えと……」

「だからなーに?」


 ここで葵は優羽の顔を見て、むくと更に口を尖らせる。


「そういうことかぁ……」

「何が!?」

「聞きたいことあるんでしょう?」


 優羽は一人慌てる。

 これで付き合ってるとか帰ってきたら立ち直れないかもしれない。


「聞かないと始まらないと思うよ〜?」


 優羽はブスっと、だけど少し面白がっているような顔をしている葵に歯噛みする。


 絶対今までの仕返しだ。

 聞きたくないという気持ちが心を急速に占めていく。


 ……しかし、聞かなければ何も変わらないのも事実。


 優羽は意を決して挑むように言った。


「葵は紫音と付き合ってるの!?」


 結構勇気を出して聞いた質問に葵は目をパチクリとさせる。

 そして一言呟く。


「優羽はそっちを聞いちゃうのかぁ……」

「え、そっちってどっち?」


 こっちの話と笑った葵は真顔に戻った。


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