こんな能力(ちから)なんていらなかった



ちゃんと囲っとかないとあっという間に取られちゃうよ——


 という葵の戒めの念が込められているなんてことは簡単に読み取れる。



「そう思うんなら彼氏から彼女に言い聞かせてくれない?」

「それは無理」


 キッパリと断られてしまった。


「……。ていうか、そろそろ返せ」

「えー、もうちょっと優羽のお宝ショット見てから——」

「返せ」

「はい」


 唯斗は紫音の迫力に負けてあっさり返す。
 と思いきや、


「あ、今日の分だ」


そう言ってまた自分の方に引き寄せた。
 唯斗の掌の上で確かに振動してる紫音の携帯。


「わーお……」

「返せって言ってんだろ」


 紫音は力尽くでもぎ取ると新しく届いた写真を見て絶句した。


「優羽って黒パン履かない子なんだねぇ」

「いや、前は履いてた……」


 紫音は葵に『今すぐ短パンはかせとけ』とメールを送る。


 届いた写真は階段の下から撮ったのか、優羽のスカートの中がバッチリ写っていた。
 ピンクのレース。そこから伸びる綺麗な足まで。
 そして、それを見上げる男子高生の姿も。


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