こんな能力(ちから)なんていらなかった
——本当に?
ずっと私といてくれるの?
あの人が驚いたように言ったのが許せなくて。
俺だけは絶対に貴女から離れない。
貴女が何と言おうと俺は絶対に離れない。
離れてやらない。
そう言ったあの時の青年にあの人は言った。
——約束だからね?
ああ、貴女が望むのなら永遠にだってそばにいる。
ありえないことだって、やれる。
貴女が笑顔でいてくれるのなら。
俺は、優羽にこの気持ちを伝えなくても構わない。
貴女という鎖に絡められ、例え地に堕ちたとて気にすることはない。
「おやすみ、優羽」
そっと柔らかな唇にキスを落とす。
紫音は名残惜しそうにその唇を離した。
せめて、俺の腕の中で
寝ている間だけは
——幸せな夢を……