こんな能力(ちから)なんていらなかった
もっふもっふと触りまくっていた優羽を紫音は呆れ顔で見ていたが、こんな気持ちいいものから手を離せるはずもなく。
結局紫音にいい加減にしなさい。と止められるまで、触り続けていた。
「……紫音、この羽って本物?」
「質問は後で聞いてやるから」
と紫音は優羽の体を突然抱き締める。
ビックリする間もないまま、優羽はグニャリとした不思議な感覚に身を置いていた。
それはほんとに一瞬で。
気付いたら豪華な部屋にいた。
装飾品一つとっても上品な綺麗なもので、ここが普通のホテルで無いことが分かる。
「なんで……こんな高級そうなホテルに?」
「高級ホテル?」
紫音はいつの間にかもとに戻ったのか、茶色い頭を傾げる。
そんな紫音に優羽は詰め寄った。
「とぼけないでよっ」
「いや、とぼけてるわけじゃないんだけど……」
紫音は本当に分からないのか珍しく焦っている。
「……もういい」
優羽は肩を落として、身を引く。
その瞬間紫音は優羽の肩を掴んでいた。
優羽はビックリして紫音を凝視する。