こんな能力(ちから)なんていらなかった


 ここで正直に約束の話をしたら、angelicのことまで離さなければいけなくなる、きっと。
 そして、自分の命が狙われていることも。


 それは流に伝えてならない気がする。


 なんて答えようかと焦ったその時自分の服が目に入った。
 着ていたジャージとは違う白のワンピース。


「闘ってたうちに、ぼっボロボロになってたジャージはこっちで処分するからって……」


 いつの間に着替えさせられたのか全く記憶になく、今度問いただそうと心に決めながらそう答えると流は押し黙った。


「流……?」

「俺も着いて行けばよかったな……すまない」

「油断してたこっちが悪かったの……だから気にしないで!」

「だが……」

「気にしないでって言ってんでしょ!それに私は死なないでここにいる。それでいいじゃん」


 ねっと言っても流の垂れた眉は元に戻らない。


「次からは気をつけるから……」

「……分かった」


 家の庭に降り立つと流は優羽を下ろした。


「もう遅いから今日は寝ろ」

「え?今何時?」

「三時」

「は、……イマナンテ」

「だから午前三時」


 優羽は押し黙るとその場で土下座した。


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