こんな能力(ちから)なんていらなかった



「申し訳ございませんでしたッ!!!」

「いいから寝ろって!」

「は、はい!!!」


 優羽は全力で自分の部屋に駆け込む。

 確かに時計は三時を指していた。


 もそもそと着替えてベッドに潜り込む。

 ベッドの中は落ち着く。
 だが、沢山のことを思い出してしまう。




 特に紫音のこと。



あ〜〜〜〜〜〜!!

考えなきゃよかった!!


 布団の中で頭を抱えて丸くなる。

 王様を想ってあんな顔をする紫音に泣きたくなった。



紫音は王様が好きで

私は王様に似ていて



 もしかしたらなんて考えてしまう。

 寧ろもしかしたら、ではすまない。



きっと、紫音は私が王様に似てるから



「私のそばにいるんだろうなぁ……」



 何てことない。それが答えだったんだ。
 自分のそばにいる答え。
 自分に笑顔を向けてくれる答え。


「あ゙〜〜〜……泣きたくないのに」


 優羽は乱暴に目元をこすると、ゴロンと寝返りをうった。


 選ぶ選ばれるの次元じゃなかった。最初から。



身代わりとか

ほんと辛すぎ


 優羽の口から嗚咽が漏れる。



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