こんな能力(ちから)なんていらなかった



 いい加減に痺れを切らした流は声を荒げた。


「何かを言えと言ってるんだ!!」

「……出来ないんだ」


 流に答えたのは以外にも唯斗だった。


「……何?」

「だから、できないんだ」

「何故だ!?」


 唯斗は溜息を一度着いた後、したくてもできないんだ、と答えた。


「……どういうことだ?」

「優羽の使う術の仕組みと違うんだよ、俺らの使う術は」

「……?」


 イマイチ理解していない(というかそんな説明じゃ理解なんてできない)流となんとか説明しようとしている唯斗に見かねて、今度は晃が説明する。


「流さんは、マナという物質を御存知ですか?」

「まな?」


 流の反応から知らないということが窺える。まぁ、そうだろうとは思ってはいたが。


「マナというのは、要は不思議現象を引き起こす物質なのですが、それは目に見ることはできません」

「不思議現象って、例えばなんだ?」

「優羽様が作る結界とか」

「…………、で、そのマナと優羽を助けられないことになんの関係があるんだ?」


 流の考えももっともだ。
 だが急きすぎだ。


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