こんな能力(ちから)なんていらなかった


 優羽が紫音にメールしたのは言われた次の日の朝だった。

 朝、起きて机の上に名刺が置いてあったのを見て思い出した。連絡を寄越せと言われていたことを。


「……なんか忘れてる気がするんだけど……」


 まぁいっか。と呟きながら手帳と睨めっこすること暫く、色々と考えた後、結局学校があるか気にしなくて済む今度の日曜日を指定した。自分の学校も華桜院も土曜日は隔週で授業が入る。こっちになくても紫音は学校があるかもしれない。
 照らし合わせるのがめんどくさいのなら、最初から簡単な方を選ぶべきだ。

 そんなことをごちゃごちゃ考えていたからか、気が付けば起床してから既に二十分が経過していた。
そろそろ流が起こしに来るかもしれない。

 優羽はすぐに部屋を出る。
 長い廊下の角を曲がった丁度その時キッチンから流が顔を出した。


「おはよ」

「おはよう」


 爽やかに挨拶をする優羽に流はやれやれと言った表情でキッチンに引っ込む。優羽は起こしに行く必要がなくなったんだから喜ぼうよ、と思いながらリビングへと向かった。

 ご飯を数分で平らげ自室に戻る。
 何気無くベッドの上の携帯に目をやればチカチカと光っていた。
 親からかな?と思いながら開いたため、差出人を見た時は驚いた。
 そのメールは紫音からだったのだ。


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