こんな能力(ちから)なんていらなかった
紫音は目をパチクリとさせた後、さぁと不敵に微笑んだ。
これは何か隠してる——
直感でそう悟る。
けれど。
それは私にはきっと関係ない——
「まぁ、いいや……。他になんか教えてよ」
「他にって?」
「千歳優羽についてに決まってるでしょ!」
「うーん……頭はよかったとか?」
まぁ、確かに。
「外見暗いガリ勉だったもんね……。案外普通のとこ来たね」
「いや?成績は最底辺だったけど?」
「嘘!?」
それには心底驚く。
「外見詐欺じゃん!」
「お前それ失礼だろ」
紫音はポテトを口の中に放り込む。
あ。いい音。
自分もそれを一本摘まんで口に入れる。
けっこう美味しかった。マックには勝てないけど。
「成績は最底辺だったけど、頭の良さは格別でさ、何聞いてもお前大体答えられんだよな。特に文系科目なんかは俺の知識量遥かに凌いでた」
「その言い草だと紫音は理系科目学年主席だと言ってるような気がするのですが」
「理系科目じゃなくて全体のな」