こんな能力(ちから)なんていらなかった


「なんで読めんの!?」

「だから言ったろ?」

「気持ち悪っ!」

「おま、自分に向かってそれは……」


 キモいもんはキモい。


 だって、自分じゃない、そんな感覚に支配される。
 それを見るだけで勝手に頭の中に意味が入ってくる。
 それが日本語訳なのかどうかも怪しいぐらい抵抗なく。

 とにかくその感じが怖かった。


「これギリシャ語だけど、お前大体の国は網羅してたぞ」

「中学生が!?」

「『次はアラビア語覚えるのが目標かな?』これが俺が一番驚いた言葉だ」

「!?」


※アラビア語…世界で習得が最も難しい言語と言われているうちの一つ。


末恐ろしすぎるぞ、私……。


「あと、史学凄かった。恐ろしいほど知識が豊富で本気で怖かった」

「なんか、もう勉学の方はいいわ……お腹いっぱい」

「そう?」

「他になんかないの……?」


 紫音は少し険しい顔になる。


「運動神経いいのは実感済みだろ?」

「まぁ、それは……」


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