こんな能力(ちから)なんていらなかった
「やめときなよ……絶対キツいって」
「余裕だって、あ、すいません」
充分反対する前に紫音は通りすがりの男の人に頼んでしまった。
そして優羽の分まで勝手に注文する始末。
「……後悔してもしらないから」
「ないない」
太る心配ないからって好き勝手やっていると将来泣きを見ることになるんだから……!なんて言えるはずもなく。
楽しみだなーなんて言ってる紫音を尻目に優羽はケッと悪態をついた。
数分後届いたそれは優羽が想像していたよりさらに大きく、器は優羽の顔以上あるように思えた。
「全部、食べれる……?」
「当たり前」
言うが早いかスプーンを手に取る紫音。そして何の躊躇いもなくそのモンスターにスプーンを突き刺した。
「躊躇なしだと……!?」
「なんでアイス食うのに躊躇いがいるんだよ」
次々と分解され駆逐されていくモンスター。
そしてそれを呆然と眺める優羽。
モンスターが半分程になったころ、紫音はなぁと口を開いた。
「何!?」
「いつになったら話すんだよ」
「あ……」
紫音はまたスプーンを口へと運ぶ。