こんな能力(ちから)なんていらなかった
「早く話さないとなくなっちゃうんだけど?」
紫音に促されしょうがなく語る——の前に。
「実は、国家機密並の重要な情報だから、絶対口外しないって保証がないと話せないんだけど……まぁ、大丈夫か」
この人がそんなことするわけないかと一人納得する。
「しないよ、——で?」
「最近爆弾魔が世間を賑わしてるじゃん?あれはあいつらがやってることでさ……」
「『あいつら』?……そんなに沢山いるのか?」
コクリと頷く。
「それを捕まえるように警察のお偉いさんから依頼が来てて。……もうかれこれ十人近くは確保してるんだけど、中々口を割らなくて……結局、あれがなんなのか私達にもまだ分かってない」
確保した奴らは術を施された特殊な建物にいる。しかし、その部屋もそろそろ足りなくなってきたと連絡あったばかりだ。
「あれって?」
「爆弾テロって言っていいのか分からないけど、実行犯達のこと。見たことないような変な術使うから普通の人間ではないと思うんだけどね、私達はあれを便宜上“エンジェリック”って呼んでる」
「angelic——天使のような、か」
紫音は「なんでだ」と聞く。
優羽は淡々と「持ってるから」と答えた。