こんな能力(ちから)なんていらなかった
「しかも突然すぎるし」
このメールが届いたのは一時過ぎ。丁度昼食を用意している時だった。
移動時間に三十分ほどかかってしまうため、すぐにでも家を出なければ間に合わない時間だった。慌てて服を着替えて転がるように家を飛び出したのがついさっきのことだ。
紫音への不満をグチグチ考えているとすぐに乗り換えの駅に着く。
早歩きで別のホームに向かう。
何度も来ているのというのに覚えられないのはどうしてなのだろうか。電光掲示板の案内を見上げながら歩くと沢山の人にぶつかる。
ぶつかった全員が全員皆舌打ちする。
マナーが悪い人が多すぎて胸糞悪くなってくる。
ぶつかった場合fifty-fiftyなのを知らないのかね?
舌打ちした人の背中を見送る。
子供がマナー悪くなるのも当たり前だろう。何故って、手本であるべきの大人達がこうなのだから。
子供ばかり責めてないで、もっと自分のことも責めるべきだと思う。
「て、ああ!」
こんなとこで立ち止まってる場合じゃないのを忘れていた。
優羽は踵を返すと急いで乗り場へと急いだ。
——とまぁ、そんな風に頑張ったわけなのですが。
「遅い」
「無茶、言うなぁ……」
結局間に合わなかった。