『友人狩り』
コール音が胸に響いてくる。

<郁哉、早く出て!!>

何故か雫はそう思っていた。
朝起きたときから感じていた不安が雫の心で肥大しているのがわかった。


『もしもし。』

「郁哉!」

郁哉の声を聞くと咄嗟に自分でも驚くほど大きい声が出た。

「変なの。お母さんもお父さんも姉ちゃんも変なの。」

雫は上手く言葉にできなくて、ただ自分が感じた気持ちを郁哉に伝えていた。

『俺ん家も変。何か母さんも妹も弟も、泣きたいのを我慢している顔で俺を見るんだ。さっき、航平からも連絡あっけど航平ん家の家族も変らしい。』

「ねぇ、今日って私服でもいいの??お父さんが学校から連絡あったって言ってたんだけど…。」

『いいらしいな。母さんも言ってた。』

それから、雫も郁哉もしばらくの間黙ったままだった。
雫や郁哉の知らないところで何かが起こっている。
でも、それが何なのかが全然わからない。

しばらくして郁哉が言ってきた。

『今日、一緒に学校行くか??』

郁也の声が何故か凄く近くに感じた。

「うん…。」

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