『友人狩り』
―ピンポン、パンポン。
不安が漂う教室の中、放送から音が聞こえてきた。
【3年B組の生徒の皆さんは、ただちに校門に止まっているバスに乗って下さい。もう1度、連絡します。3年B組の生徒の皆さんは、ただちに校門に止まっているバスに乗って下さい。】
「何で、放送??」
「先生は?」
「先にバスに乗ってたりして。」
「行くの?どうする?」
「えっ?行ったほうがよくねぇ??」
生徒たちはさっきの放送に対して口々に思ったことを言うが、誰もその放送を疑う人はおらず、放送に従うように次々と教室から出て行った。
「郁哉、航平?」
雫は絵里たちに混じって教室を出て行こうとしたとき、まだ教室の中で郁哉と航平がいることに気づいた。
郁哉と航平は教室の窓からジッと外を見ていた。
雫は2人に近づき、窓の外を眺めた。
目に映るのは、3年B組の生徒たちが校庭を楽しそうに歩いている姿だった。
「ねぇ、どうしたの?」
雫の声に郁哉は窓から目を逸らさずに答えた。
「バスの前にいる奴ら誰だと思う?」
「へ?」
郁哉の言葉に雫は校庭の先にある校門を眺めた。
そこには、1台のバスとバスの入り口にスーツを着た5人の男性と1人の女性が立っていた。
小さくて見にくいが、雫も知らない人たちだった。