『友人狩り』
「今から皆さんには、このプレートを10日間の間、菊島第一高等学校の皆さんと奪い合ってもらいます。そして、10日後、何枚プレートを持っているかによって勝敗が決まります。」

部屋中にヒシヒシと感じる空気が南麗華を楽しめていった。

「皆さんが思っているほど、ハードなゲームにはなっていません。この森には、5つのコテージがあります。そのコテージの屋根には皆さんの校章である桜のマークがついた旗が立っておられます。そのコテージだけは皆さんの休息の場になっておられます。しかし、他にもこの森には5つの菊島第一高等学校の皆さんのコテージもあります。コテージでお休みになる場合は旗の確認をすることと、前もって皆さんのプレートに埋め込まれているチップがコテージの鍵になりますので紛失などをされますと入れないようになっておられますので、気をつけて下さい。」

南麗華はそこまで言うと、部屋の隅で立っている郁哉が手を挙げていることに気づいた。

「堂島君よね?何か?」

南麗華の言葉にクラス全員の目線が郁哉に集中した。

「へ~。あんたらはクラス全員の顔と名前がわかるんだ?」

郁哉は南麗華を見据えながら話した。

「何で、俺らのクラスが選ばれたんですか?」

南麗華は郁哉の目から逸らすことはしなかった。

『友人狩り』の説明をしている途中、このクラスの中で面白くない反応をしている生徒が2人いた。
その1人が郁哉で、もう1人は郁哉の横でぼーっとしている航平だった。

「気まぐれです。国王様が引いた紙に、あなたたちの学校名とクラスが書かれていただけです。中高生の若者なら誰でも良かったのです。」

「気まぐれか…。」

「深く考えないで下さい。このゲームは、ただのゲームです。国王様は、ただ現在の若者のことを知りたいだけです。」
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