『友人狩り』
「真西が言ってたように黙っているはずがないと思うんだったら、何でこのゲームを先に知らされた俺たちの親は黙っているんだ?」

重い空気が再び流れ始める。

「誰も逆らえねぇんだよ。逆らうことができねぇんだよ、国王様に。」

航平の言葉は重く、心にのしかかってきた。

「じゃぁ、あたしたちは国王様の玩具ってこと?」

震えた声で稲村静香が誰にでもなく聞いた。
誰もそれに答えようとはしなかった。
いや、答えがわかっていても皆、心のどこかで否定したい自分を持っていた。
しばらくの沈黙の後、いきなり郁哉が立ち上がり奥のドアを開け、ドアの奥へと入っていった。
その後を航平も続く。

男性が言っていたように、奥のドアの向こうには男と女のマークが付いているドアが2つあった。
郁哉と航平は男のマークが付いたドアに入った。
入った先には、“トイレ”、“シャワールーム”と書かれたドアがあり、2人はシャワールームに入っていった。
シャワールームの中に入ると、個室が10個ほどあり、シャンプーなども付いてあり、人数分の着替えがあった。

「女子も同じようになってんのかな?」

航平がトイレを覗きながら言った。

「たぶんな。」

郁哉はそう言うと、換気扇のスイッチを付けたり消したりした。

「郁哉…。」

名前を呼ばれたほうに顔を向けると、ドアから少しだけ顔を覗かせた雫がいた。
郁哉は雫の近くまで行くと「どうした?」と聞き、ドアを大きく開けた。
雫は郁哉が大きく開けたドアに少しバランスを崩し、倒れそうになった。

「悪ぃ。」

郁哉はバランスを崩した雫の腕を掴み言った。
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