『友人狩り』
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―――――


―12時00分。

チャイムが鳴り響く。

「雫、ちゃんと飯食えよ。」

郁哉は近場の木陰に座ると雫に向けて言った。
雫は黙って郁哉の隣に座り、リュックの中から弁当箱を取り出した。

今朝、生徒全員に配られた昼食の弁当だ。

ここからは“皐月”の花は見当たらない。
誰にも気づかれないようにそっと息を吐く。
雫は弁当箱を開けて、弁当箱の卵焼きを口に運んだ。

<大切なものが目の前から消えていく…。>

雫は隣で弁当を食べている郁哉を見上げた。

「何?」

弁当を黙々と食べながら郁哉が雫に聞く。

「別に…。」

雫は目線を弁当箱に向けて、呟いた。
哲郎はさっさと弁当を食べ終えると、その場で寝転び木々の間から見える空を見つめた。

「俺たち…どうなるんだろ?」

「わかんねぇ…。まだ何も始まってねぇからな。」

郁哉も哲郎と同じように寝転ぶ。

「死者とか出ねぇよな?」

「…。」

何も言わない郁哉に顔を向けて、もう1度哲郎は同じ台詞を言った。

「凶器になるもんはねぇって…あの女は言ってたけど。」

「…けど?」

雫が尋ねる。

「ここが森の中であり、考えれば凶器になるもんがあるってこと。」

郁哉はゆっくりと起き上がると鋭い目をして言った。
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