『友人狩り』
「…このことは誰にも言わないでね。」

親友は雫の目を見ながら言った。

「言うわけないじゃん!!」

雫は親友に笑顔を向け、はっきりと言った。
それに安心した親友も笑顔になり、2人で楽しそうに帰っていった。

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「おっ!!コテージだ!!」

雫と郁哉の前を歩く哲郎が嬉しそうな声で言った。


―17時03分。


昼食時間が終わった後も雫たちは敵にも味方にも会うことなく、今日の『友人狩り』は終了した。
コテージ屋根には桜ヶ丘高等学校の校章である桜のマークを付けた旗が立っていた。
哲郎はコテージの前まで来ると足を止めた。

「どうした?」

郁哉は哲郎の隣まで来ると哲郎を覗きながら聞いた。

「なぁ、扉開かねぇんだけど??」

哲郎は困ったように郁哉と少し遅れて扉の前まで来た雫を見ながら言った。

「はぁ??」

郁哉は哲郎の言葉を聞くと扉の取っ手を掴み押したり引いたりしたが、扉は開かなかった。

「ねぇ、これ。」

扉をガチャガチャとならしている2人の横で雫が壁に向かって指を差しながら言った。
雫が指差した方向には、何か書いている看板が壁に貼られていた。

「扉の開け方。自分の持っているプレートを扉に備え付けられている認識装置に当てて下さい。自動に扉の鍵が開きます。」

雫が看板に書かれている文字を読み上げた。
郁哉は雫が言った通りに扉に備え付けられているプレートと同じ形をした認識装置にプレートを当てると、カチッという音と共に扉の鍵が開いた。
ゆっくりと扉を開けると室内は真っ暗だった。

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