『友人狩り』
「哲郎、何かあったか??」

郁哉が哲郎に呼びかけたとき、ガチャンという扉の鍵が開く音が聞こえてきた。
郁哉はゆっくりと玄関のほうに足を運んでいった。
その後に雫と哲郎も続く。

「郁哉??」

その声と同時に誰かが郁哉に飛びついてきた。

「野々村??」

郁哉に飛びついてきたのは、同じクラスの野々村信吾だった。

「堂島君!!雫!!今岡君!!」

信吾の後に嬉しそうな声が玄関のほうから聞こえてきた。
よく見ると、信吾の班である中島薫、村西翔馬、町村梓が立っていた。

「あず!薫!!」

雫は梓と薫のところまで駆け寄り抱き合った。

「良かった!!雫たちの班も無事で!!」

梓は雫の頭を撫でながら郁哉と哲郎に顔を向けて言った。

「まぁ、こっち来て休めよ。」

哲郎はそう言い、信吾たちをさっき休んでいた奥のリビングに通した。

「へぇ~。キレイだな。」

翔馬はリビングに入るなり誰ともなく言った。

「なぁ、お前ら俺たちの他に誰かと会ったか??」

郁哉が冷蔵庫からコーラを取ってきて机に置き言った。

「ううん。あたしたち、堂島君たちに会うまで誰も会ってないの。」

薫はソファーに座り言った。

「郁哉たちは??」

信吾がコーラを開けて郁哉に聞いた。

「俺らも。」

「そっかぁ…。」

「ねぇ、このコテージ全部見た??」

梓は隣に座っている雫に尋ねた。

「一応。一通り見たよ。」

雫はそう言うと郁哉に目線を向けた。
< 45 / 59 >

この作品をシェア

pagetop