『友人狩り』
カチカチと壁に掛かっている時計の音だけが響いた。
皆、それぞれ何を考えているのかわからない。
雫は充電器を机に置くと、さっきまで座っていたソファーに再び座った。

「5時36分か…。」

そっと時計を見上げて郁哉が呟いた。

「このまま何もせずにいるわけにはいかねぇな。どうする??飯にする??」

郁哉の声に梓が立ち上がり

「お米炊くわね。」

と言い、台所に足を運んだ。
その後に薫も続く。
雫も梓と薫を手伝おうと立ち上がったが、郁哉に止められた。

「雫はここにいろ。お前、料理できねぇだろ??」

いつもだったら郁哉の言葉に怒るところだが、今の雫は怒る気力さえなかった。
それでも精一杯口を尖らせて郁哉に反抗する。

「お前らって、本当に仲いいよな??」

突然、雫と郁哉のやり取りを見ながら翔馬が言った。

「だよな!!幼なじみにしては、郁哉が構い過ぎだと思う!!」

翔馬に続いて信吾が言う。

「そうそう!!前に噂あったよな。郁哉と雫と航平の三角関係!!」

哲郎も加わり、騒がしくなってきた。
さっきと違って、雰囲気がまるで違う。

「何?何??何の話??」

台所から薫が楽しそうに話を聞いてきた。
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