『友人狩り』
朝、目を覚ますと雫は自分の部屋でないことに気づいた。
ゆっくりと体を起こし辺りを見渡す。
右隣のベッドには薫が、その隣には梓が寝息をたてながら眠っていた。

夜中の12時に郁哉の携帯に報告メールが入った時を思い出す。
携帯の画面には、桜ヶ丘高等学校も菊島第一高等学校も人数は減っていなかった。
その結果報告を見て、安堵の息を漏らしたのを憶えている。

雫はゆっくりとベッドからおりると部屋を静かに出ていった。
昨日の夜、雫たちは話し合い1階は女子が、2階は男子が部屋を使うようにした。
雫は部屋を出るとリビングの明かりが点いていることに気づき、そっとリビングのドアを開けた。
リビングにはソファーに座った郁哉が雫の気配に気づき顔を上げた。

「どうした?」

郁哉は雫を見ながら聞いた。

「目が覚めて…水でも飲もうかな…って。」

雫はそう言いながら台所まで歩いていき冷蔵庫を開けた。

「なぁ。」

後ろから郁哉の声が聞こえた。

「雫はどう思う?」

「何が?」

雫は冷蔵庫の中からミネラルウォーターのペットボトルを取り出すと郁哉に聞き返した。

「『友人狩り』について。どうして国王様はこんなことを考えたんだと思う?」

雫はペットボトルを持ち、郁哉の目の前にあるソファーに座った。
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