『友人狩り』
「あの女の人はゲームだって言ってた。国王様の暇つぶしじゃないの??」

「暇つぶしねぇ…。」

「だって、あの国王様だよ?国のことなんて何も考えていない人だよ??私たちを玩具みたいに思っているんだよ。」

「確かに。今の国王様に代わってから、この国はドロドロだな。特に若者の犯罪者が増えている。」

郁哉は天井を見ながら言った。

「郁哉…。」

雫の声に郁哉は天井から雫に目線を変えた。

「『友人狩り』って本当に起こっているのかな?」

雫は俯いたまま、数時間前にこの場所で報告結果を見た後、皆で話していたことを思い出していた。

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「なんだ。両方とも減ってないじゃん。」

薫が残念そうにソファーに凭れながら呟いた。

「本当に起こっているのかね??」

哲郎も薫に続いて呟いた。

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「起こっている。」

郁哉はゆっくりとはっきりとした口調で言った。

「“起こっていない”と言ってほしかったか??」

郁哉は雫に聞いた。
雫は郁哉の目線から逃げるように目を逸らした。
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