昨日よりも少しでいい





「これ」


そう言って亮が出したのは

細工が綺麗な“約束”の箱


「なくしたと思ってた……」

「俺、今日誕生日なんだ」

「……」


私の二個上だから…18歳

てことは……



「覚えてる?

 俺が18歳になったら

 結婚しようって“約束”」


「うん…うん!」


私は泣きながら

頷く事しか出来なかった



「俺の18歳の誕生日二人で

 この箱開けようって」



そう言って箱に鍵をさして

ゆっくり回した亮





カチッ



朝の静かな病室に

鍵のあいた音が響いた



-まるで私達の止まった時間が

動き出したように-




「俺と結婚してください」




そうはにかむ亮を

誰よりも愛しいと思った




「はいっ…」



私は泣きながら笑顔で

亮に抱き着いた


「わっ、ばか!箱おちるっ」

「大好き!亮!」


「………うん、俺も」




箱の中の

綺麗な指輪が

朝の日ざしに照らされて


輝いていた





< 184 / 187 >

この作品をシェア

pagetop