昨日よりも少しでいい
「これ」
そう言って亮が出したのは
細工が綺麗な“約束”の箱
「なくしたと思ってた……」
「俺、今日誕生日なんだ」
「……」
私の二個上だから…18歳
てことは……
「覚えてる?
俺が18歳になったら
結婚しようって“約束”」
「うん…うん!」
私は泣きながら
頷く事しか出来なかった
「俺の18歳の誕生日二人で
この箱開けようって」
そう言って箱に鍵をさして
ゆっくり回した亮
カチッ
朝の静かな病室に
鍵のあいた音が響いた
-まるで私達の止まった時間が
動き出したように-
「俺と結婚してください」
そうはにかむ亮を
誰よりも愛しいと思った
「はいっ…」
私は泣きながら笑顔で
亮に抱き着いた
「わっ、ばか!箱おちるっ」
「大好き!亮!」
「………うん、俺も」
箱の中の
綺麗な指輪が
朝の日ざしに照らされて
輝いていた