逆ハーレムに巻き込まれました。




その日は、僕の大嫌いな調理実習がある日で。


授業に出たくなかった僕は、養護教諭のお兄さんの言葉を右から左へ流しながらベッドで寝ていた。


その時だった。



『先生!今すぐこの人を診てほしいのですが!』



青ざめた表情で保健室に飛び込んできたのは、サクヤ先輩。続けて、ヒースも保健室へ入ってきた。


そして、ヒースに抱えられてグッタリと力を失っていたのは……



『――リタ!?』



気付いた僕はすぐにベッドを飛び出し、彼女の元へ駆け寄った。


彼女は、ボロボロだった。


泥だらけの体操服。あちこちについた擦り傷。拘束されていたらしく、手首の部分には強く握られたようなアザがあった。


話を聞くところによると、二人で決闘の効率的な戦い方を話していた時、たまたまその現場に遭遇したのだという。


……体操服を着たリタが、何人もの女子生徒に蹴り飛ばされている場面に。



『体育で転んじゃって』


嘘つき。


『今日も怪我しちゃったー』


嘘つき嘘つき。



『受け身がうまくいかなくて……せっかくアレン君とリョウ先輩に教わったのになぁ』


嘘つき嘘つき嘘つき!!!!




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