逆ハーレムに巻き込まれました。
私は心の中で溜息をつきながら、先程から遠巻きにこちらを観察している女子グループへと目を向ける。
気付かれていないとでも思っているのか、『いい気味だ』とでも言うように笑う彼女らへにっこりと微笑み返し。
そして。
「まぁ、残念ながら――茶番はここまでという事で」
私は腕の拘束を力任せに振りほどくと、今まさに私の胸に触れようとしていた手を素早く払った。
パシン、という乾いた音が森の奥に響く。
……《疲労》の呪いにかかっているから抵抗できる訳がない、と信じ込んでいた彼らの表情が一瞬で凍る。
それを見て、私は狙い通りだと思いながら
「ざーんねーんでーしたっ」
そう言って、固く握りしめていた右手を開いてみせた。
そこにあるのは、怯える『フリ』をして相手を油断させている間に魔力を十分すぎるほどに充填させた――一枚の『符』。
【魔法耐性】を自分にかけている私は、それをヒラリと空中に放り投げると
「大規模展開・【風圧】ッ!」
躊躇なく、その膨大な魔力を解放した。
直後、衝撃。
「ぅぐっ!」
私は、とんでもない質量で襲い掛かってくる風に耐えようと目を閉じた。
一瞬の息苦しさの後、魔法の発動が終了したのを確認しながら恐る恐る目を開け……
「よし、成功!」
仲良く地面に倒れこんでいる男子達に、思わずガッツポーズをした。