逆ハーレムに巻き込まれました。
「……ありがと、クリュウ」
病室から二人が去った後、私は小さな声でポツリと呟いた。
そして、改めて委員長の方へ向き直る。
「委員長、今日はとってもいいニュースを持ってきたんだ。
私とリタに嫌がらせをした人たち、今日付けで全員退学になったんだよ」
証拠も十分集めた上、完全に被害者である私の証言が決定打となって、今日総勢12人の退学処分が決定した。
私を襲ってきた男子達は『自分達も騙されていたんだ』と言い張っていたけれど、
呪いの魔法陣を発動した事は確かな上、私とリタに暴行を働こうとしていたので言い逃れの余地は全くなかった。
「とにかく、私とリタは無事だから。……あと、いないのはアレン君だけなんだからね」
私は掛け布団から出ていた彼の手を両手で包むとそれを額に当て、祈るように呟いた。
「お願い。はやく帰ってきて……!」
その時。
微かに……本当に微かに、アレン君の手がピクリと動いた。
「アレン君!?」
それに驚いた私は目を見開くと、手を握ったままアレン君の顔を見る。
アレン君は……うっすらと目を開けていた。