逆ハーレムに巻き込まれました。
――『閃光吹雪』というのは元々チーム名ではなく、『セリナ・マクレール』個人に付けられた二つ名だった。
当時の私は14歳。黄金龍であるクリュウの存在を隠し、一人で冒険者ギルドの依頼を受けていた頃の事だ。
いまのようにゴブリンの群れに囲まれ、四苦八苦しながらも全て倒し終わった時、一緒にクエストを受けていた男が言ったのだ。
『君の剣さばきは本当に素晴らしいね。僕には、閃光が吹雪のようにちらついているようにしか見えなかったよ』
……それ以来、私の名前は『閃光吹雪』として冒険者ギルド全体に知られていく事となった。
(懐かしいなぁ)
私は心の中で呟きながら、最後の一匹となったゴブリンの心臓を貫いた。
ズン、という重々しい音と共にゴブリンの体が地面へ倒れ、そして静寂が訪れる。
それを確認して、私は心の中でクリュウへと呼びかけた。
『クリュウ、こっちは完了。そっちはどう?』
『誰に聞いてるんだ?俺様が負けるわけねぇだろうが』
『それもそうだね。じゃあ、ゴブリンの耳を全部回収したらギルドのロビーで待ち合わせで』
『了解』
別の場所で私と同じようにゴブリンを殲滅していたクリュウの無事を確認しつつ、私はカタナについた血を払って鞘に納めると
代わりに短剣を取り出して、息絶えたゴブリンの耳にあてがった。
ゴブリンの耳はギルドに持っていく事で彼らを倒したという証明になり、今回のクエストが完了になるのだ。