逆ハーレムに巻き込まれました。




私は黙々と作業を開始しながら、たどたどしくクエストをこなしていた頃を思い出した。



(あの時より、確実に私は強くなったと思う。……けど、)



果たして、心はどうなのか。



「……ハァ」


私は思わず溜息をつき、明るく晴れた空を八つ当たり気味に睨んだ。



――私にとって、リタ達はかけがえのない友達だ。



人間を憎み、なるべく関わらないように生きてきた私が、初めて勇気を出して作った人間の友達。


彼らは優しかった。まだ出会って一か月くらいだけど、一緒にいて楽しくない時間なんてなかった。


彼らの温かさに、まるで……私もただの一人の女の子であるように思えた時間もあった。


なのに。



「ねぇ、リタ……どうして?」



思い出すのは、ずっと封印していた記憶のカケラ。


裏切られた、あの日の事――。



「リタも私の事、裏切るかもしれないの?」



暗くなっていく心を持て余しながら、私は昨日アレン君から聞いた話を思い出した。




< 134 / 228 >

この作品をシェア

pagetop