逆ハーレムに巻き込まれました。
私は黙々と作業を開始しながら、たどたどしくクエストをこなしていた頃を思い出した。
(あの時より、確実に私は強くなったと思う。……けど、)
果たして、心はどうなのか。
「……ハァ」
私は思わず溜息をつき、明るく晴れた空を八つ当たり気味に睨んだ。
――私にとって、リタ達はかけがえのない友達だ。
人間を憎み、なるべく関わらないように生きてきた私が、初めて勇気を出して作った人間の友達。
彼らは優しかった。まだ出会って一か月くらいだけど、一緒にいて楽しくない時間なんてなかった。
彼らの温かさに、まるで……私もただの一人の女の子であるように思えた時間もあった。
なのに。
「ねぇ、リタ……どうして?」
思い出すのは、ずっと封印していた記憶のカケラ。
裏切られた、あの日の事――。
「リタも私の事、裏切るかもしれないの?」
暗くなっていく心を持て余しながら、私は昨日アレン君から聞いた話を思い出した。