逆ハーレムに巻き込まれました。
入っていた服を掻き分け、取り出したのは大人の拳ほどの大きさをした透明な水晶。
通信水晶と呼ばれるそれは、その名の通り人と通信をするための道具。簡単に言ってしまえば携帯電話みたいな物だ。
この世界の通信水晶はとても高価なのだけれど、そこは伯爵であるお父さんにおねだりして買ってもらった。
私は水晶に魔力を通すと、淡く発光を始めたそれに話しかける。
「シェイド!シェイド起きてる!?通信に気づいて!」
『……姉さん?』
通信の相手は、義弟であるシェイド。すぐに通信に出てくれたあたり、まだ起きていたようだ。
「シェイド、ちょっとお願いがあるの!聞いてくれる!?」
『い、いいけど……?』
「ありがと!じゃあまず、窓の外に赤い光の柱があるの見える!?」
『うん』
「突然で申し訳ないけど、いつも一緒に登校してるメンバーと……あとガンツ先生!彼らを集めて、あそこまで皆で行ってほしいの!」
『えぇ!?で、でも、』
「お願い、あそこにはセリナちゃんがいるの!このままじゃ……!とにかく、頼んだわよ!」
私はそう言うと、一方的に通話を終了させた。