逆ハーレムに巻き込まれました。
「アハッ、アハハッ、……アハハハハハハハハハハハッ!!!!」
先ほどまでの無表情が嘘のように、冷たい光を瞳に宿して醜く顔を歪めるセリナ。
いつものセリナとはかけ離れた姿に、俺たちは思わず立ち尽くした。
しかし、そんな俺らを見てさらに笑みを深めた彼女は、まるで指揮者のようにゆったりとした動作で腕を上げると、こちらを指さした。
瞬間――近くの茂みに隠れていた魔獣たちが、こちらへ一斉に襲い掛かってくる!
「ッらぁ!!」
咄嗟に魔獣の爪を剣の鞘で受け流した俺は、剣を抜き放ちながら魔獣の背中へ向けて斬撃を繰り出した。
しかし魔獣は空中で素早く身体を捻ると、無傷のまま地面に着地する。
(な……避けただとッ!?)
普通ならありえない出来事に、俺は目を見開く。
思わず見上げたのは、セリナの横にそびえ立つ光の柱――。
(もしかして、あれが魔獣の強くなっている理由か!?セリナが豹変してしまったのと、なにか関係が……)
考えていると、体勢を立て直した魔獣が再び飛び掛かってきた。
それに気付いた俺は、すぐに意識を戦闘へ戻すと剣を魔獣へ振り下ろす。
――未だ狂ったように笑い続ける、セリナの声を聞きながら。