逆ハーレムに巻き込まれました。
「所詮私はサポートキャラだから、ここまでしか手伝えないけど。
……どうかお願い、セリナちゃんを助けてください!!」
響いた声も、視線と同じくらいまっすぐだった。
俺様はその言葉に「わかった」と頷くと、カタナを握ったまま窓から飛び出した。
そして背中から黄金龍本来の翼を展開すると、そのまま光の柱めがけて猛然と進む。
しばらくしてから、柱の下で大量の魔獣と戦っている男子たちを見つけた。
――そして、柱の横でケタケタと壊れたように笑う、セリナの巣姿も。
「セリナァァァアアアアアッ!!!!」
俺様は叫びながらカタナを構えると、翼を畳んでそちらへと突撃した。
俺様の存在に気付いたセリナの赤い目が、一瞬だけ見開く。
(疑って悪かったな、セリナ。いま助けてやる!!)
俺様は心の中でセリナに語りかけながら、『破邪の刀』を振り上げた。
そして、
「これで――終わりだッ!!」
その言葉と共に、カタナをセリナ――ではなく、その隣に立つ光の柱へと全力で振り下ろした。
カタナの刃が柱へ食い込み、魔力の中心であった《龍玉》の残骸を粉々に吹き飛ばす。
それと同時に光の柱が四散し、砕け散った。
そうして、まるで今までの出来事が夢うつつであったかのように――魔の森には、いつもと変わらぬ夜が訪れたのだった。