逆ハーレムに巻き込まれました。
落ち着いてから話を聞いてみると、リョウ先輩も私と同じく興奮して眠れなかったのだとか。
気晴らしにと修練場へ来てみれば、私が先にカタナを振っていたので入るのを躊躇ったらしい。
「その、とても隙のない剣筋だったからな!参考になるかと思って見ていたんだ!決して見とれていたわけじゃないからな!?」
そう念を押すと、リョウ先輩はそのままそっぽを向いてしまった。
けれど、その耳は真っ赤になっている。
「……先輩、耳が真っ赤ですよ?もしかして照れてます?」
「なっ……う、うるせぇ!余計な事言うんじゃねぇよばーか!」
からかってみたら、次は顔まで赤くなった。わかりやすい人だなぁホント。
思わず噴き出すとリョウ先輩がギロリと睨みつけてきたので、私は慌てて謝ると訓練に付きあってもらえるよう頼んでみた。
「……いいぜ。からかったこと、後悔させてやるからな!」
二つ返事で了承してくれた先輩は、そう言うと大太刀を構えてこちらへ向き直った。
それを見た私は、
(……ちょっと言い過ぎたかなー)
と苦笑しながらカタナを正眼の位置に構え、身体強化系の魔法を自分にかけていく。
ほの暗い闇の中、私と先輩の周りで魔法陣の輝きが花火のごとく浮かび上がった。
(綺麗だなぁ……)
ほんの一瞬だけ、その光に心を奪われる。
――刹那
「じゃあ……いくぞッ!!」
掛け声と共に、リョウ先輩がこちらへと飛びかかってきた。