逆ハーレムに巻き込まれました。
そもそも、ガルヴァール魔法学園に転校する前の私はなるべく人間と関わらないように過ごしていたのだ。
それなのに、突然知らない人に――しかも異性の店員さんに声を掛ける勇気なんて、生憎だが持ち合わせていない。
(ガルヴァールでみんなと友達になれたのだって、リタが間に立っててくれたからだもんなぁ)
恐らくリタがいなかったら、私はこんなに早くガルヴァールに馴染めなかっただろう。
改めて友達の偉大さを実感しつつ、私は2階から人の流れをぼんやりと見下ろす。
その時だった。
「ん?あれって……」
雑踏の中で目についたのは、鮮やかな橙色の髪。
思わず目を凝らすと、やはりその人物はヒース君だった。
「おーい、ヒースくーん!」
呼びかけてみると、彼は不思議そうな表情をしてその場に立ち止った。
それを確認した私は、一つ息を詰めると――そのまま、2階から飛び降りる。
そして、いくつか上がった悲鳴を無視してヒース君の前に着地しすると
「やぁ!こんなとこで会うなんて奇遇だね!!」
私は笑顔を浮かべ、ヒース君の方へ向き直った。
そんな私を、目を見開いて見つめるヒース君。
「……どうしたの?なんか硬直してるけど」
「いや……なんでもない」
訳が分からず首を傾げると、深い溜息をついてヒース君が首を振った。どうしたんだろう。
少し不思議に思いながら、どうしてここにいるのかと聞いてみる。
すると、返ってきたのは意外な答えだった。