逆ハーレムに巻き込まれました。




「……ん?」



近付いていくと、そこに並べられていたのは色違いのキーホルダー。


お守りの一つらしく、色ごとに効果が違うらしい。



「えーっと、黄色がお金で白が幸運?判断力なんてのもあるんだぁ」



そう思いながら一つ一つ見ていくと、ふと指がピンク色のキーホルダーのところで止まった。


そこに書かれていたのは、『恋愛』。


瞬間、不意に頭の中でリョウ先輩の明るい笑顔が弾けた。



「……って、なんで突然リョウ先輩が出てくるの!?」



私はギャー!と可愛げのない叫び声を上げながら頭を抱える。


よりによって『恋愛』のキーホルダーのところでリョウ先輩の事を思い出すなんて!


それじゃあ私、まるで――



「……おい、どうした?なんか叫んでたみたいだが」


「うわぁっ!?」



突然声をかけられて驚いた私は、その場に飛び上った。


反射的に強張った笑顔を向ければ、そこに立っていたのは訝しげな表情をしたヒース君。



「い、いやぁ?ちょっとこのキーホルダーが気になってさ!」


「……あぁ、お守りか。確かにリョウ先輩は接近戦タイプだからな、怪我をする確率も高いし意外といいかもしれねぇな」


「で、でしょー!じゃあ私、ちょっとこれ買ってくるね!!」



私はそう言って誤魔化すように笑うと、『幸運』と書かれた白いキーホルダーを持って会計カウンターへ向かった。


リョウ先輩が喜ぶかどうかは正直なところ分からないけど、とりあえずご利益があればいいなぁと思う。



(……渡す前に、何か守護の呪文でもかけておこうかな)



そんな事を考えながら会計を済ませ、雑貨屋から出る。


そのままヒース君を待っていると、彼は意外と早く店から出てきた。




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