逆ハーレムに巻き込まれました。
「ヒース君は何を買ったの?なんだかすごく大きい袋だけど」
「あぁ、食うと浮かぶっていうアメを箱買いした。これがあれば身長へのコンプレックスが解消されるかもしれないと思って」
「……でもあれ、横に小さく『制御不能』って書かれてなかったっけ?」
「先輩なら、制御できるまでやるだろうからな。それも見越しての箱買いだ」
「なるほど」
確かに、リョウ先輩ならやりそうではある。むしろアメをなめすぎて虫歯にならないか心配だ。
私が頷いて納得していると、ヒース君は袋の中に手を入れ「それと、これ」と言いながら小さな包みを渡してきた。
「……?なにこれ?」
「開けてみろ。お前のだから」
「う、うん」
促され、戸惑いながら私は包みを開ける。
すると、中から現れたのは――先ほどまで見つめていた、ピンク色のキーホルダーだった。
「……っ、これって」
「すげぇ欲しそうに見つめてたからな。やるよ」
そう言うと、ヒース君はフッと薄く笑った。
私はそんな彼にお礼を言うと、淡く光るそれを早速かばんにつけた。
かばんの横で光るキーホルダーを幸せな気持ちで見つめると、私たちは寮へ向かって歩き出す。
――けれど。
「それでね、その時クリュウが……ッ!!」
無事にガルヴァール魔法学園にたどり着き、寮のエントランス部分が見えてきた頃。
そこに立っていたリョウ先輩が、私とヒース君を見ているのに気がついて――思わず声を詰まらせた。