逆ハーレムに巻き込まれました。
「……なぁ」
「…………ッ!」
その低い声に、昨日の眼差しを思い出して身体が硬直する。
そんな私を見たリョウ先輩は、なぜか辛そうに目を細めると――
「昨日は、悪かった。お前を怖がらせてしまったな」
そう言って、静かに頭を下げた。
……てっきり『お前なんか嫌いだ』と言われると思って身構えていた私は、あまりにも予想外な一言に頭が真っ白になる。
「……は、い?なんでリョウ先輩が謝るんですか?」
「なんでって……。昨日、俺はお前に八つ当たりで冷たい対応を取ってしまったからだが」
「え?あれって、先輩を避けまくってた私に対して怒ってたんじゃないんですか?」
「……は?」
一晩考えてわかった『リョウ先輩に嫌われた理由』を口に出してみれば、リョウ先輩は訝しげな表情で首を捻った。
……どうやら、私たちの話はかなり食い違っているようだ。
話し合う必要があると感じた私は、先輩を誘って図書準備室へと入り、中の椅子に腰かけた。
そして、隣に座ったリョウ先輩へと自分の思っていた事を説明し始める。
つたない私の説明を最後まで黙って聞いていた先輩は、やがて呆れたような表情でやれやれと首を振った。