逆ハーレムに巻き込まれました。
「――つまりこういう事か?
パーティーの夜にやった訓練中、お前は全力で俺に挑み、結果的に俺を気絶させた。
その事に罪悪感を覚えたお前は、俺と顔を合わせ辛くなり一方的に避け始めた。
そして昨日、階段で俺に冷たい態度を取られたために『怒っている』『完全に嫌われている』などと考えた、と」
「その通りでございます……」
「馬鹿かお前は!」
肯定した瞬間、手加減なしのデコピンが飛んできた。
思わず額を押さえて唸れば、隣から聞こえてきたのは大きなため息。
「一体俺は、お前の中でどれだけ心の狭い男になっているんだ!?訓練中に気絶なんてよくある事だし、全く気にしていなかったんだが!」
「いや、先輩ならそう言うだろうなーとは思ったんですけど!それでもやっぱり、私の気が済まないというか!!」
こちらを睨みつけてくるリョウ先輩に慌てて弁解をしつつ、私は回収しておいたかばんを手に取った。
そして、白いキーホルダーの入った袋を掴むと、それをリョウ先輩の眼前に突き出す。
「と、いうワケで先輩!お誕生日おめでとうござます!!」
「……あ、あぁ。ありがとう」
そのまま勢いまかせに袋を押しつければ、先輩は毒気を抜かれたような顔で受け取った。
しかし、袋を開けた瞬間にその表情は真面目なものに変わる。