逆ハーレムに巻き込まれました。
(やっぱり!)
最後に大きな一撃が来る事を予想した私は、本来なら詠唱しなければならない詠唱を強引に中断。
身体の中に残っていたありったけの魔力を魔方陣へ注ぎ込むと、一番重要な最終詠唱だけ口にする。
「其は究極にして始源の光。《雷》を司りしものよ、いま顕現し、我を守る盾となれ!」
「っ、ぅぉぉおおおおおお!」
詠唱が終わるのと、一瞬で間合いを詰めたリョウ先輩が大太刀を振り下ろしたのは
ほぼ同時。
ヤケにゆっくりと流れる時間の中、鈍く光る剣先が私に向かって近づいてくる。
(あぁ、さすがにこれは間に合わなかったかも……)
思わず、痛みを覚悟したその時
「――言われなくても!」
見慣れた黄金の光と共に、リョウ先輩の身体が弾き飛ばされた。
急速に戻った時間感覚と共に、先輩の身体が数メートル離れた地面へと落ちる。
そして、私は……
「ったく、なにギリギリに呼び出してンだよ!もっと早く俺様に任せやがれ!」
「ごめんごめん。まぁクリュウなら間に合うって信じてたよ」
「嘘つけ!最後諦めてたじゃねーか!!」
魔法陣から呼び出した、最強であり最高のパートナーである青年――クリュウに、頭をひっぱたかれていた。