逆ハーレムに巻き込まれました。
――最初のきっかけは、私が彼らを凝視してしまった事だ。
驚くほど広い寮を出発して、人の波に流されながら新しい学校へと向かう途中
きゃあきゃあと騒ぐ一つのグループが目に入った。
チラリとそちらを見た私は、あまりにも信じられない光景に思わず二度見をしてしまったのだ。
そう――そのグループの、顔面偏差値の高さ故に。
(凄い、なにあの人たち!全員のレベルが高すぎる!)
グループの中心で微笑む少女を筆頭に、その周囲を歩く何人かの男子も桁外れにカッコイイ。
今まであまり人と関わらず人里離れた場所でヒッソリと暮らしていた私からすれば、これが都会ってヤツか!と衝撃を受けるには十分なグループ。
(うーん、やっぱ美形は凄まじい威力を持ってるね!関わるのはゴメンだけど、見てるぶんには目の保養だわー)
楽しそうに歩く彼らを横目に見つつ、呑気にそんな事を考えていた
瞬間。
「…………ぁ……」
「え?」
突然、中心で笑っていた美少女と目が合ってしまった。
驚いた私は、慌てて前を向きつつ内心で冷や汗を流す。
(な、なにしてんだ私!確かにあの人は信じられないくらい美少女だったけど、だからって見つめることはなかっただろうに!)
心の中で叫びつつ、歩いていた足を速めようとすると。
「あ、あのぉ……」
――それはまるで、鈴を転がしたような可愛らしい声だった。
パニックになっていた私は、その声が誰のものかも考えずに振り返り――
「……あ、やっぱり!あなた、昨日寮のほうへ引っ越してきた転校生さんですよね!?」
向けた視線の先に、キラキラと瞳を輝かせる先程の少女を発見し……今度こそ、思いっきり固まった。