逆ハーレムに巻き込まれました。
「ったく、俺様じゃなければ確実にやられていたんだぞ!もっと危機感を持て!油断するな!!」
クリュウはそう言うと、『……まぁ、無事で良かった』と呟いて後ろから抱きしめてきた。ちょ、重い重い。
「クリュウこそ離れてってば。まだ試合終了の合図は出てないんだよ?」
私はそう言いながらクリュウの腕をベリッと引き剥がすと、ガンツ先生の方へ視線を向けた。
それまで呆けていたガンツ先生は、私と目が合うとすぐに我に返る。
そして、
「け、決闘を終了する。勝者、魔法陣構築科のセリナ・マクレール!」
その判定が下った瞬間、観客席から大きな歓声が上がった。
なんだかこそばゆい気分になりつつクラスメイトを探せば、観客席から立ち上がって踊っていた。どこの民族ですかアナタ達は。
しかも一番騒いでるため、周囲の人から白い目で見られてるけどいいんだろうか?
私はそう考えつつ視線を外すと、いまだ倒れているリョウ先輩の方へ近づいた。
……脈や魔力の流れを見る限り、特に大きな怪我などはなさそうだ。
「あーよかった。クリュウの雷撃をマトモに食らったかと思ってヒヤヒヤしたよー」
「それをしたら死ぬだろうが、この人間。ちゃんと外しておいた」
クリュウはあっけらかんとそう言い放つと、私と同じ金色の瞳を細めてもう一度抱きついてきた。
柔らかな金の髪が頬をなでて、ちょっとくすぐったい。