逆ハーレムに巻き込まれました。
――クリュウが黄金龍だという事は、重大な機密事項とされている。
この学園の中でも、知っているのは担任であるガンツ先生、生徒会長であるサクヤ先輩、そしてガルヴァールの理事長の3人だけだ。
秘密にする理由は簡単。この世界における龍という存在は、とても貴重なものだから。
個体数が少ない上、龍の身体はその鱗一枚、血の一滴すらも相当な価値があるのだ。
もしクリュウが黄金龍だとバレれば、必然的にクリュウの、そしてその契約主である私の命を狙う馬鹿が増えてしまう。
さてどうやって誤魔化すか、と私が思案し始めたその時。
「悪かったな、遅くなった。……って、セリナもいたのか」
「あ、ヒース君。おはよ」
私たちと同じくジャージ姿のヒース君が、髪をかきながらこちらへ近付いてきた。
太陽の光を反射してキラキラと光るオレンジ色の髪は少し硬そうで、
(な、撫でてみたい……!)
と心の中でワクワクしていたら、そんな心の声を見透かしたかのように軽く睨まれた。ちょ、怖いって。
思わず固まっていると、ユウリ君が笑いながらヒース君の現れた理由を教えてくれた。
なんでも二人は今日、一緒に訓練をする約束をしていたのだという。
そして、先に待ち合わせ場所で訓練していたユウリ君と偶然出会ったのが私……と。