逆ハーレムに巻き込まれました。




「うーん、なにがダメだった?」


「……わからん」



苦悩する私の前、首を傾げるのはユウリ君とヒース君。


そして二人の前には、焼きすぎて黒く炭化した(元)肉の塊が置いてある。


――そう。今回の訓練というのは身体を鍛えるものではなく、『料理』の腕を鍛えるものだったのだ。


冒険者になればクエストの関係で森に入るし、野営なんてものも当たり前になってくる。


そんな中、重要になってくるのが『食事』。


美味しく栄養のある食事を作れば冒険中でも体調を崩さないし、何より飢えることがない。


かくいう私も、食べられる魔獣の見分け方や血抜き、そして調理など、基本的な事はマスターしているのだが……。



「まず、油をひかずに肉を炒めてどーするの!焦げ付くに決まってるでしょうが!」



私は黒くなってしまった二人の携帯形調理セットを指差しながら、油の重要性を教えた。


そして自分の調理セットを持ってくると、用意されていた食材で黙々と調理を開始。


二人は何か手伝うと言っていたけれど、とりあえず私が調理するところを見て覚えてもらう事にした。


卵をボウルに投げつけて割ろうとしてた奴らが手伝うってお前……。




< 68 / 228 >

この作品をシェア

pagetop