逆ハーレムに巻き込まれました。
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「え、こ、これが私……!?」
「そうだよ!」
「……この鏡、なんか細工してあるんじゃないでしょうね」
「ちょ、鏡を剥がそうとしちゃダメだってばー!
っていうか、セリナちゃんは元々可愛いんだからね!?そのままにしてたら勿体ないもん!」
リタ(土下座をやめる代わりに呼び捨てをお願いされた)が隣で力説しているのを聞き流しつつ、私は目の前の鏡をマジマジと見つめた。
ほとんど手入れしていなかったボサボサの髪は、今や濡れ羽色のサラツヤロングストレートに。
眉を軽く整えられ、メイクもしてもらったら、そこにいるのはもはや別人だった。
「お客様を見た瞬間、勿体ない!と思ったんですよー!」
「ですよね!連れてきてよかったぁ!」
「こちらこそ、手のかけがいのあるお客様を連れてきて頂いて嬉しいです!」
リタと美容師さんは、そう言うと笑顔のままガッチリと握手した。けれど、今はそこにツッコミを入れる余裕もない。