逆ハーレムに巻き込まれました。




***



「え、こ、これが私……!?」


「そうだよ!」


「……この鏡、なんか細工してあるんじゃないでしょうね」


「ちょ、鏡を剥がそうとしちゃダメだってばー!


っていうか、セリナちゃんは元々可愛いんだからね!?そのままにしてたら勿体ないもん!」



リタ(土下座をやめる代わりに呼び捨てをお願いされた)が隣で力説しているのを聞き流しつつ、私は目の前の鏡をマジマジと見つめた。


ほとんど手入れしていなかったボサボサの髪は、今や濡れ羽色のサラツヤロングストレートに。


眉を軽く整えられ、メイクもしてもらったら、そこにいるのはもはや別人だった。



「お客様を見た瞬間、勿体ない!と思ったんですよー!」


「ですよね!連れてきてよかったぁ!」


「こちらこそ、手のかけがいのあるお客様を連れてきて頂いて嬉しいです!」



リタと美容師さんは、そう言うと笑顔のままガッチリと握手した。けれど、今はそこにツッコミを入れる余裕もない。




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