逆ハーレムに巻き込まれました。
私とリタ。
共通点があるとすれば、二人とも魔法陣構築科の女子生徒であること。
そして……
「それなら、心当たりがあります。といっても、完全なる憶測ですけど」
「構わん。なんだ」
「……私とリタ、妬まれてるんじゃないでしょうか」
脳裏に浮かぶのは、今朝話していた逆ハーレムのメンバー達。
リタを含め、彼らは全員美形だ。当然モテるだろう。
そんな彼らに近づく邪魔な女子として、私たちは嫉妬されているんじゃないだろうか。
……っていうか正直、それ以外の理由が思いつかないんだけど。
私がそう説明すると、ガンツ先生は
「そうか……」
と言って黙り込んでしまった。
……ここで問題なのは、犯人候補の対象が広すぎて絞り込めない事だ。
その上、今回犯人がした事といえば魔法陣の書かれた紙を机の中に入れただけ。
もし犯人が見つかったとしても、『少し悪質な嫌がらせ』と言われてしまえばそれまでだ。
(ちょっと腹は立つけど、今回は犯人を捕まえるのは難しいかな……)
そう考えた私が溜息をついた、その時――
「諦めるのは、まだ早い!」
その人物は、颯爽と保健室に入ってきた。
「一つ、考えがある。少し危険を伴うが、きっと犯人を見つけることができる方法だ」
窓から差し込む夕焼けを、眼鏡のフレームが反射する。
緑色の髪が、ふわりと風に揺れた。
「――聞いてもらえますか?」
そう言ってニッコリと微笑んだのは、我らが委員長・アレン君だった。