ハダカの初恋

ちょっと買ってくるから、お前、そこで待っとけ」


そう言って浜辺のベンチを指さして、スタコラサッサと行ってしまう晴人。


ひとり残されたあたしは、ポカーンとその背中を見つめる。



……今のって。

もしかして。察してくれたんだろうか。


あの晴人が?
バカ晴人が?
意地悪と高慢で出来てます、みたいな晴人が?


「……まさかね」


あたしは自分に言い聞かせるようにつぶやいて、ベンチに腰を下ろした。

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